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コラム・事例

信託の目的

石井 満 代表社員
司法書士(京都第1278号)・簡易訴訟代理等関係業務認定(第112066号)・民事信託士・行政書士

信託する、、、大切な財産を誰かに託す以上、そこには本来、必ず「託す理由」があるはずです。「なぜ託すのか?」それは「代わりに管理、処分してもらうため。」かもしれません。

ただ、単に「管理処分してもらうこと」それ自体が「託す理由」とは言えないのではないでしょうか。「財産を管理または処分してもらう」その先にあるもの、例えば、「先代から預かった土地を守り続けてほしい」「この財産で、障害のある子の生活が困らないようにしてほしい」「万一認知症になってもこの家で暮らしたい、暮らせなくてもこの家を原資にして生活を維持してほしい」・・・

「財産を管理、処分してもらう」その先にあるもの、それが「信託の目的」であるはずです。託された側(受託者)の行動指針もその管理処分の先にあるはずの「目的」こそが「信託の目的」として全ての基準になります。

受託者の管理処分の判断が正しいのかどうか、「信託の目的」に沿うかどうかが判断基準です。もし受託者がその目的が何かを見失ってしまっていたら、将来、受益者から「管理義務違反だ!」と責任追及される可能性があります(相続の際に、受益者の相続人から遡って追及されるかもしれません)。それどころか、そもそも託す目的が曖昧な信託は、そもそも既に存在していないかもしれません。

最近、様々な信託を目にする機会が増えていますが、その度「目的目的、、」と呟いています。
受託者が家族・親族がなる家族信託の場合、私にとって譲れない一線です。