認知症になってからでは遅い!その前に必ずやっておきたい相続対策とは?
「自分は大丈夫」は危険・・・!?
相続対策についてご相談いただく件数が格段に増加し、超高齢社会を実感する今日この頃です。相続対策と言ってもいろいろあり、相続税の節税・遺言書作成・生前贈与、そして最近では家族信託をご検討される方も増えています。
最近の傾向として、息子様や娘様が相続対策についてご相談に来られ、「実は・・・父(母)は既に認知症なのですが大丈夫でしょうか?」と仰るケースが非常に多いです。本当に、とても多いです。この言葉を聞くたびに、「もっと早く相談に来てくださっていれば・・・」と心から残念に思います。認知症になってしまったら、もはや相続対策はできない場合がほとんどなのです。
「成年後見人をつければ良いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、成年後見人はあくまで「本人の為に」存在するものですので、相続対策はできません。なぜなら、相続対策は本人の為では無く相続人の為だからです。
認知症になる、ならないは結果論として、いずれにせよ相続対策にはできる限り早い段階で取り掛かっていただくことを強くお勧めします。それでは具体的に、どのような対策が考えられるでしょうか?
家族信託で財産の管理・処分権限を移す
家族信託は最近、非常に注目度があがっている制度です。
父(または母)が不動産を所有しているとします。所有者が認知症等により意思能力を欠いてしまうと、不動産の売却は基本的にできなくなります。息子や娘が代わりに売却することも原則としてできません。不動産価格の上昇や下落によって「今不動産を売りたい!」というタイミングがあったとしても、息子や娘はどうすることもできません。
しかし、予め家族信託しておけば、不動産の管理・処分権限を息子や娘に移すことができ、父(または母)の為に不動産の売却等をすることができます(予め信託契約で定めた目的の範囲内での管理・処分に限る)。
以下に当てはまる項目がある方は、相続対策の1つとして家族信託を検討されることをお勧めします。
- 信頼して任せられる親族が身近にいる
- 将来、所有不動産の売却・建築・大規模修繕・借入の可能性がある
- 将来、高齢者施設への入居を考えている
- 将来、定期預金の解約が必要になる可能性がある
遺言書で自分の想いを明確に
任意後見契約は、現在はお元気な方が万が一認知症等になった場合に備えて、自分の財産管理や身上保護をしてほしい人を予め決めておく制度です。オプションとして、死後の手続き等について契約で定めておくこともできます。
以下の項目に当てはまる方は、一つの選択肢としてご検討ください。私どもが、ご不安を和らげるお手伝いができれば幸いです。
- お子様がいらっしゃらない、身近に頼れる身内がいない
- 将来、万が一自分が認知症等になった場合の生活に不安を感じる
- 自分の死後の手続き等について不安を感じる
やっぱり気になる相続税対策
相続対策といえば、節税対策と考えられる方も多いかもしれません。空き土地への建物建築、生命保険への加入、子や孫への生前贈与等、これらの様々な対策も、認知症になった後では一切できなくなります。実際に対策するかどうかは別としても、なるべく早いうちに検討を始める必要があると思います。
尚、税理士であれば必ずしも相続対策に強いわけではありません。むしろ、相続対策に強い税理士の方が少ないかもしれません。相談する場合は必ず、相続対策に強い税理士に相談するようにしてください。
まとめ
最後になりましたが、ご自身で事業をされている方の場合、万が一認知症になった後では事業承継についても対策が取れなくなってしまいます。「株式はこのように分けたい」というような希望をお持ちの方は多いのではないかと思いますので、事前に対策を取っておく必要があります。
また、相続対策とは少し違いますが、既に発生した相続の手続きをせずに放置していると、どんどん相続人が増えてしまい収集がつかなくなる場合があります。心当たりのある方は、1日でも早く手続きをしていただきたいと思います。
ご自身やご家族が「認知症になるかもしれない」なんて考えたくもないことです。しかし、現場で働いている身としては、”すでに認知症で相続対策できない方”のご家族からの悲痛なご相談があまりに多く、その時点ではもはや何もできない事実に対し、本当に心苦しい限りなのです。
「万が一の為に保険に入る」というような気持ちで、相続対策について一度考えてみていただきたいと、心から思います。そして、おおさか法務事務所では、相続対策に関するご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。