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【わかりやすい解説】家族信託のやり方をステップバイステップで解説!

石井 満 副代表・麹町オフィス所長・民事信託事業部部長
司法書士(兵庫第2040号)・簡易訴訟代理等関係業務認定(第112066号)・民事信託士・行政書士

ここ数年の間に、家族信託という言葉が急速に浸透していると感じます。
『遺言や成年後見制度とくらべて、家族信託は自由の効く制度』、『認知症になっても家族の中で解決できる画期的な制度』等々、各種メディアの影響もあり、一般の皆さまからのお問い合わせが非常に増えていると感じます。
家族信託に興味があるけれども、「実際どうすれば家族信託ができるのか?」「手続きの大まかな流れが知りたい!!」という方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな方々のお声にお応えして、家族信託の手続きについて、大まかな流れを、どこよりも簡単に、わかりやすく説明していきます。

ステップ1 まずは家族信託の専門家へ相談します。

家族信託を利用したいと考えた場合、まずは、一度、信頼できる家族信託の専門家に相談をしてみることがスタートだと思います。
家族信託は必要な方が上手に利用すれば、遺言・成年後見制度ではできなかった対策が可能になりますが、万人に必要なものではないと考えます。
専門家に相談する理由は、家族信託を利用してまで、対策をする価値があるか、ジャッチしてもらう為です。
場合によっては、私達専門家は、家族信託を利用したいと相談にこられたお客様に対しても、必要がないとお伝えする場合がありますし、違った対策をご提案をさせていただくこともあります。
『我が家にとって、家族信託という制度が必要かどうか、判断してほしい』『相続や病気等に備えて、何かしら対策をしたいけれども何から手をつけていいのかわからない』。
そういった不安をお抱えの方は是非一度、私達専門家に判断の機会を頂けたらと思います。
判断の際に検討要素となるものは、ご家族との関係性、財産の状況と将来その財産をどのように利用したいとお考えなのか、等になります。最初のご相談で、お話を詳細にお聞きし、家族信託で対策する必要性の有無をはっきりとお伝えさせていただきます。

ステップ2 家族信託の最大のポイントは託す人を信頼できるかどうか。

生前のリスクに備えて、家族信託での対策が有効と分かった場合、家族信託において最も大切な条件があります。
それは、財産を自分の代わりに任せてもよいしっかりとした後継者がいるかどうかです。
いくら家族信託をしたくても信じて託せるだけの後継者がいないことには、この制度は意味を成しません。
当事務所にご相談に来られる方々もこの最大のポイントをクリアできる方というのが、実は思いのほか少ないのが現状です。
家族信託は生前の様々なリスクに備えて、契約の時点から(お元気な時から)財産の名義を、信じて託せる後継者に移譲するものです。
名義をうつしてしまうので、今までご自身の判断で行ってきた財産の処分権限が後継者にうつることになります。
後継者を絶対的に信じて任せる覚悟がないと到底難しい契約です。
また、託される側の後継者にとっても、本人に代わって財産の管理を行っていくということは、とても責任の重いことです。
本人に代わって、財産の管理処分を行ってもいいという関係性、後継者の覚悟がないと成り立たないものです。
この高い壁を乗り越えてこそ、家族信託による対策が可能になります。
ですので、託す側、託される側の信頼関係、それを確かめ合う家族の話し合いなしには、家族信託の導入は難しいと言えるでしょう。

ステップ3 公正証書契約書を作成します。

専門家のアドバイスを受け、また本人と受託者の信頼関係にも問題ない場合、次のステップは家族信託の契約を締結することです。
家族信託は、託す人(本人)と託される人(後継者)との間で契約を締結することにより、成立します。
契約は当事者同士の合意でも可能ですが、金融機関等の第三者からも契約に対する理解や協力を得るためには、公正証書により契約を行うことが必要です。
多くの場合は、初回の相談を受けた専門家が、お客様の実情に応じて契約書文案を作成します。
専門家の関与が望ましい理由は、家族信託を利用したとしてもあらゆるケースに対応した契約書になっていない場合、より一層トラブルを招き、せっかくの対策が台無しになってしまう可能性が高いからです。
家族信託の制度を熟知した経験値の高い専門家に、漏れのない契約書を作成してもらうことで、家族信託は家族の財産を守る切り札となります。
契約書の作成を専門家に任せる場合、お客様は契約締結日に公証役場に行き(公証人の出張も可能です)、公証人から契約内容の説明を受けます。
その後、本人と受託者が契約書に実印を押すことで、契約が成立します。

ステップ4 信託口口座の作成や不動産の名義変更等を行います。

公証役場での契約を締結した段階で、法律的な関係性はできあがりますが、それをきっちり実行していく為に次の2点が大事です。

①金銭については信託口口座で管理を行うこと。

金銭を信託する場合、受託者がその口座を管理することになりますが、そのお金の使い道は本人の為になるようにしなければならず、受託者の財産とは分けて管理することが必要になります。
それを預金口座としてもきちんと表示するために、家族信託においては信託口口座の作成が必要になります。
口座名義は『A(本人の名前)信託受託者B 信託口』となります。
これにより、受託者が管理する本人のための預金口座ということが明確になり、受託者の財産との分別が可能になります。
金銭の信託をする場合、この口座の作成は必須のものです。口座の作成に関して私達、専門家からもアドバイスさせて頂きます。

②不動産については名義変更の登記を行うこと。

不動産を信託する場合には、不動産の名義を受託者に変更することになります。
売買や贈与、相続の場合と同じように『所有権移転』の登記を申請することになります。
登記の原因は、『信託』という表記になります。名義をうつすということに、躊躇されるお客様が多いことが現状です。
しかし、家族信託は本人に代わって、受託者に一切の管理処分を託すことが制度の本質としてありますので、不動産の名義がきちんと信託を原因としてうつっていて、初めて本人に代わっての売却や建替え、担保の設定が可能になります。
名義をうつしますが、家族信託を原因とした名義移転なので、贈与税は発生しません。
なぜなら、信託の場合、実質的な財産的価値は手元に残したまま、管理処分する権限と責任だけをうつすものだからです。
この点に大きな特徴があります。

まとめ

少子高齢社会の影響はもはや待ったなしの課題となっており、不動産にまつわるトラブルだけを見ても、認知症トラブル、相続問題、空き家の問題等が深刻な社会問題となっています。
家族信託は、そのような問題に対処しうる1つの有効な対策です。
家族信託の手続きは、大まかには上記のようなステップで行います。
専門家を上手に活用して頂くと、難しい作業は特に必要はありません。間違った対策で失敗したり、対策をしなかったことにより後悔をする前に、少しでも不安を感じる方は、私達専門家を気軽に頼ってください。
家族信託が家族の財産を守るものとしてより多くの方に普及すればと願っています。