民事信託の為の司法書士の必要性・選び方・相場費用・依頼後の流れ
民事信託は司法書士に頼んだ方が良いのか?
民事信託を利用する際、司法書士等の専門家に依頼した方が良いのか、それとも本やインターネットで調べながら自分自身でできるものなのか、悩まれるかもしれません。
結論から申し上げると、民事信託の場合は司法書士等の専門家に依頼する方が望ましいと私は考えています。
例えばローンを完済した時に行う抵当権抹消登記や、相続登記等であれば、書籍やインターネットにたくさんやり方や書式例の情報がありますし、法務局の無料相談コーナーに何度か通って自力で登記手続きを行うことも可能かもしれません。
また、遺言書についても、シンプルな内容であれば専門家の手を借りずご自身で書かれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、民事信託に関してはどうでしょうか。最近でこそ民事信託について書かれた書籍やインターネットの記事は随分と増えましたが、情報量としてはまだまだ少ない状況ですし、民事信託のしくみ自体も少々複雑です。
また、一口に民事信託と言っても、その使い方には様々なものがあります。民事信託をするには、信託契約の内容を検討し、契約書を作成し、ローン付不動産を信託する場合は金融機関の承諾も得なければいけません。
さらに、信託目録案の作成、法務局への手続など、自分で行うのは簡単ではないと思われます。そして、気を付けなければいけないのは、「契約書を作成して登記したらそれで終わり」では無いという所です。
なぜ民事信託を利用しようと思ったのか?その目的を実際に果たせる内容になっていなければ、まったく意味が無いのです(契約書を公証役場で作成したから大丈夫とか、無事に登記が通ったから問題ないということはありません!)。
こういった理由から、民事信託は司法書士等の専門家にご依頼いただく方が安心だと思っております。
ちなみにこれまでたった一度だけ、ご自身で信託契約書を作成して公証役場に持ち込み、登記まで全て行ったと仰る方とお会いしたことがありますが、相当な時間をかけて研究に研究を重ね、ようやく形になったそうです。それでもなお、将来、信託の目的を本当に達成できる内容になっているのかは分かりません。
信託はイザという時に使えないと意味がないのです。
後悔しない、司法書士の選び方
では、司法書士ならどこの誰でも良いのか?と言うと、そうでもありません。民事信託の契約内容をきちんと設計できる司法書士を選んでいただく必要があります。と言っても、そもそも「一度も民事信託に取り組んだことがない司法書士」の方が、割合的には圧倒的であろうと思われます。
司法書士の業務として主なものは「不動産登記」「商業登記」である場合が多いので、それらの業務に忙しく、なかなか新しい分野である民事信託については研究をする時間的余裕や必要性が無いというのが実情ではないでしょうか。
いくら司法書士だと言っても、民事信託に強くなければ依頼する意味がありません。私が思う、依頼する司法書士を選ぶポイントを記します。
- 委託者・受託者間の信頼関係や、信託の目的についてしっかりと確認を行ってくれる
- 民事信託が必要である場合と必要でない場合の説明を行ってくれる
- ローン付不動産を信託財産とした民事信託を組成したことがある
- 金融機関の協力を得るためのノウハウがある
- 信託に詳しい税理士、弁護士とのネットワークがある
- 民事信託をした不動産の売却まで実現したことがある
- 民事信託した不動産の建替えを実現したことがある
- 「民事信託士」等、民事信託に関する資格を取得している
費用はどれくらいかかるのか?
民事信託を利用するのにどれくらい費用がかかるのかについては、正直に申し上げますと「ご依頼者のご家族状況や信託したい資産の内容、状況によって様々です」「司法書士によっても報酬設定は様々です」という答えになります。
では、おおさか法務事務所に依頼するとどれくらい費用がかかるのか?ローンの付いていない自宅の信託であれば、30万円からの報酬設定になっております。
ローンが付いていたり、収益物件であったりすると、その分検討事項や金融機関への事前説明等の行程が増える為、ご依頼内容に応じて報酬は変動いたします。また、契約書作成時の公証人費用や不動産登記費用が別途必要となります。
詳しくは、『家族信託の報酬費用の目安はいくら?損しないために金額の徹底理解を!』http://kazoku-shintaku.jp/blogs/mainblog/275/
民事信託のご依頼から完成までの流れは?
おおさか法務事務所に民事信託のご依頼をいただいた場合、概ね以下のように進めさせていただいております。
- 初回ご相談
- 信託ご提案書の作成・ご説明、必要書類ご案内
- お申込み
- 信託契約書の文案作成・ご説明
- 金融機関への事前説明(不動産にローン設定がある場合)
- 公証役場にて信託契約締結
- 法務局へ登記申請
- 金融機関にて信託口口座を作成
- 担保権の変更登記(不動産にローン設定がある場合)
じっくりとお話しをお伺いし、進めてまいります。万が一、お話しを伺う中で民事信託の利用が適切ではないと思われる場合には、きちんとその旨お伝えし、他に適切な方法がある場合はご案内させていただきます。
まとめ
民事信託は自由度が高くとても便利な制度ですが、安易な信託契約はトラブルを引き起こすこともあります。また、最初に述べたように、せっかく民事信託を利用しても、当初の信託目的を達成できないようでは意味がありません。
民事信託の利用をお考えの方は、この分野に強い司法書士にご相談いただくことをお勧めいたします。おおさか法務事務所では民事信託のご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。