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家族信託の報酬費用の目安はいくら?損しないために金額の徹底理解を!

石井 満 代表社員
司法書士(京都第1278号)・簡易訴訟代理等関係業務認定(第112066号)・民事信託士・行政書士

家族信託の報酬費用、その相場はいくら?

「うちもそろそろ、対策を考えていく時期。司法書士さんの無料セミナーで話を聞いた家族信託が当てはまる気がするけれど、結構な費用がかかるんですよね?」

当事務所に家族信託のお問い合わせを頂く場合、多くのお客様がこのようにおっしゃいます。認知等の長生きリスクに備えて、家族信託のメリットについては多いに理解できつつも、実際、今いくらコストがかかるのか?当然、一番気になるところではないでしょうか。対策の必要性とかかる費用の整合性がつり合って、はじめて、家族信託を実際取り入れてみようと思えると思います。

司法書士の従来からの主たる業務は登記手続きです。登記手続きは専門性を要しますが、登記の規則に沿った定型の手続きとなります。

司法書士事務所ごとに多少の報酬の差はあれど、相場というものが存在します。これに対して家族信託の場合、そのご家族ごと、信託したい財産ごとに契約内容を、現在から将来にわたり、役立つように、また、トラブルのないようにコンサルティングしていくことになります。また、家族信託に必要不可欠な信託口口座を作成する場合、また担保がついている不動産の信託の場合は、金融機関への事前の説明が必要なケースもあります。

従って、そもそも契約内容、必要な工程が依頼者によって大きく異なり、また家族信託を専門的に扱える事務所が比較的少数であり、各事務所の報酬設定にもばらつきがあるのが現状であるなか、家族信託の報酬相場を明確にお伝えすることは少し難しいと思っています。

家族信託の報酬費用はおおさか法務事務所だといくら?

当事務所の家族信託の費用ですが、ずばり、申し上げると、

①ご自宅等の居住用不動産の信託で且つローンがない場合であり、
②オーソドックスな後継者への信託であれば、30万円からの報酬設定となっております。

対して、①の部分が収益不動産の場合、不動産の評価額や権利状況にもよりますが、ローンの付いていない収益不動産の信託であれば40万円から、ローンに伴う担保が設定されている場合は60万円からの報酬設定となります。

その他、必要な費用として、公正証書契約書を作成する為の公証人手数料が平均しておよそ6万円~8万円、登記の際に法務局に収める登録免許税額が土地であれば(評価額×1000分の3)円、建物であれば(評価額×1000分の4)円必要となります。

報酬費用が高くても家族信託をした方が良い人とは

上記の費用感のとおり、家族信託を導入しようとする際には少なくとも数十万円、収益不動産の信託であれば多くの場合100万円前後の費用が必要になります。家族信託の初期費用は金額として決して安くはない、と言えます。

では、その安くはない費用をかけてまで、家族信託をするメリットはあるのか?というところですが、見方によっては大きなメリットがあると考えています。
家族信託で予め後継者に名義を移しておく最大のメリットは、万が一ご本人様がご存命の間に、認知症等のご病気で判断能力が不十分となってしまった場合にも、ご本人様の託した意向の範囲内で、既に受託者となっている後継者の一存で柔軟な資産活用が可能になるという点にあります。

家族信託をせずに、そのような状況になってしまった場合、不動産の処分行為を行う為には、成年後見制度を利用する他ありません。

家族信託と成年後見制度の比較のコラムでも書きましたが、家庭裁判所の審判によって後見人が選任されますが多くの場合専門職後見人が選ばれるのが現状です。

その場合、当然、後見人に対して月々の報酬が発生します。資産総額等に応じて家庭裁判所の決定した金額となりますが、仮に月に5万円だったとして年間で60万円もの後見人報酬が発生します。後見人は一度選任されるとご本人がお亡くなりになるか判断能力が回復するまで続きますので、継続的に報酬分の費用は必要になってきます。

身寄りのない方や、ご家族の方々が遠方で、成年後見人の選任が必要な方であれば問題はありませんが、家族の中でしっかりとした跡継ぎがいて、家族の財産は家族の中で守っていきたいというご家族にとっては、成年後見制度は柔軟性に欠ける部分が多々あり、その場合の費用はトータルで考えると家族信託導入時の初期費用よりも、ずっとコストがかかってしまう結果となる可能性が考えられます。

従って、家族信託の費用はもちろん安いとは言えませんが、上記のようなリスクに備えて、万が一の保険のような意味合いで考えた時に、必要な費用かどうかという視点で考えて頂くことが望まれると思います。

まとめ

今回は、みなさんが一番気になる家族信託の費用について、ずばり、お答え致しました。
家族信託を有効に使うことで、成年後見制度との比較では、万が一の時に支払うコストとして、必要な費用を最小限に抑えることができるかも知れない可能性について言及しました。

また、認知症の問題は別にしても、一定の財産を信頼できる跡継ぎに元気なうちに託すことで、より柔軟な資産活用が可能になり、結果的に節税対策を時間をかけてじっくりと行えたり、親と子の資産承継の話し合いが家族信託をきっかけに進み、結果的に多くのメリットを生み出すこともありうると考えています。

家族信託の費用は決して安価ではございませんが、必要な方にとっては、そのお費用を考慮しても是非導入してほしい、一度は家族で話題にして頂きたい制度です。

我が家にとっては、必要な費用か、またはいらない費用か・・みなさん、一度ご検討頂けると幸いです。また私たちおおさか法務事務所では、家族信託のご相談も承っております。お気軽にご相談ください。